06/11/13(Mon) [長年日記]
▼ 海が見たくなって・・(後編)
ここは山のただ中の古い木造校舎。なにしろエアコンなんてものが無いので、布団から腕や足がはみ出ようものならたちまち冷気が襲ってくる。風邪を引くか否かの境目もふとんの枚数次第というところだ。そう思って多めに用意しておいたら、逆に暑くて一枚剥ぐことになったが。
それよりなにより問題だったのは枕である。4〜5cm程度のポリエチレンのパイプを蕎麦殻代わりに使ってある枕なのだが、これがどういう体勢を取ってもゴツゴツと首や肩に食い込むのだ。どこの製品かは知らないが自分にはまったく合わず、夜中に目を覚ますと肩が異様に凝っていて痛くて仕方がない。結局枕を追いやって直に布団に顔を押し付け、なんとか痛みから逃れるようにして寝たのだった。はたしてこの枕で快適に眠れる人はいるのだろうか?
そんなことがあって実際の睡眠時間は短かったはずだが、7時半の朝食のアナウンスの前にはすでに目を覚ましていた。肩の凝りもいくらかは引いている。
食堂に行くとまだ他の客は来ていなかったが、そのうちやってくるだろう。大きなジャーからごはんをよそう。宿泊客だけではもてあますくらいの量が炊いてある。おかずの内容は朝の旅館の定番の和食だが、贅沢にもみそ汁にカニ一匹が入っているところがちょっと違うね。シャケの切り身の代わりにアジの干物だし。卵は俺は生で食べたけど、テーブルコンロを使って自分で目玉焼きにしている客もいた。基本的にここはなんでもありな感じだ。
朝食を摂ったら早々に出発する。町営らしく一泊朝食付&ビール1本で3,985円という安さ。俺のようなソロライダーのぶらり旅には、過剰なサービスや豪華な料理なんてのは不要だから、こういうスタイルが一番合ってるかもしれないな。
松崎から海岸線を南下、ガラガラのマーガレットラインを快走。昨日に引き続き、超気持ちイイ!しかし朝食を食べ過ぎて体が重い・・苦しい^^;
ツーリングの前にリアスプロケットを交換した際、歯数を1丁減らしたのは前に書いたが、やはりたった1丁でも印象はかなり変わるもので、前よりもツアラー的な乗り味になったのを感じた。
まずアクセルを戻した時のエンブレがいくぶん穏やかになったので、あまり神経を遣わなくて済むようになったのはツーリング目的には良いことだろう。反面、アクセルを開けた瞬間に地面を蹴り飛ばすような暴力的な加速は若干失われ、乗り手の意識よりもバイクが遅れてくるような感じになったのは少し残念かもしれない。コーナーからの加速を楽しみたいと思ったら、以前よりも高回転域をキープする必要があった。クルージング時の穏やかさと、遊ぶ際の俊敏さのどちらを取るかというところだ。
奥石廊の展望台で一休み。
石廊崎ではなく、奥石廊である。有名観光地の石廊崎はみやげ物屋の呼び込みがうざくて時として不愉快になる、としか俺の頭には刷り込まれていないのでいまだに寄ったことがない。西伊豆の海には、昨夜の沢田公園のように強風吹きすさぶ荒海のイメージを持っていたのだが、今日は波も穏やかだ。海風と関係あるのかな?しばらくすると観光のツアーバスが数台やって来たので、場所を明け渡すことにした。
下田に寄って、母親に頼まれたアジの干物を買って帰る。狭い街中を走っていたところ、ちょうどひもの専門店の看板が見えたのでそちらに向かってみると、観光客の人だかりですぐわかった。小木曽商店という、知る人にはよく知られた老舗のようである。
よく街道沿いの観光みやげ屋にある緑のプラスチックの網に乗ったパックものではなく、魚屋のように生のままスチロールの箱に並べられていた。その中で一番値が高くて身の厚そうなアジの干物を3枚買う。高いと言っても一枚210円だ。準備よろしく保冷パックというのも実費で用意されていた。もちろんそれに包んでもらう。今日は小さいシートバッグなのであまり荷を増やせない。
のどかな山里風景の中を走る県道121号は空いていて気分が良い。蛇石峠を経由しグルッと松崎に戻り国道を北上、宇久須から仁科峠に上る。先行していた古いポルシェを追い掛けたが差は縮まらなかった。ん〜まだまだだね。しかしポルシェのエンジンは良い音がするな。
少々眠気が来たので展望台のベンチに横になる。ぽかぽか陽気が心地良い。
県道411号から西伊豆スカイラインへ。西伊豆スカイラインは本当に素晴らしい道で、ワインディングももちろん楽しいが、今日みたいなピーカンの日は眺めもまた圧巻である。どちらも捨て難いので、一往復半して走りも眺めも楽しんだ。まったく富士山てのはものすごい存在感があるよな。なんでこんなに見る者をウキウキさせるんだろう?^^
戸田峠を下り県道127に折れ北上、足保に出た。戸田より北の海岸線は今まで一度も来たことが無い。地図上からは断崖絶壁の上を走る険しい道を予想していたが、意外に緩やかな道だったので拍子抜けした。古びた港町の中を抜けて、沼津ICを目指す。ICまでのR414はツーリングマップルの「いつも混んでいる」の注釈通りだった。
東名に乗る。道は混んでいたが、ガンガン飛ばす車の後ろにつき露払いをしてもらいながら走っていると、すぐ厚木ICに着いた。乗ってしまえば近いのだけれど、やっぱり乗るまでがタイヘンなんだよな・・東名は。
さてここからがまた大変で、厚木IC付近の国道は大渋滞の最中。今日はウィークデイだった・・すり抜けでなんとか渋滞を抜け、今度はしっかり八王子バイパスを使って家路を急ぐ。日暮れまでには帰宅出来たのだから、厚木までは案外近いのかもしれないな。でも神経を遣わされるからやっぱりなるべく通りたくない^^;