12/07/16(Mon) [長年日記]
▼ 真夏日の群馬を駆ける
この連休はよく晴れて、夏の本番が近いのを嫌でも感じさせる暑さが続いている。午前もせいぜい9時過ぎまでには踏ん切りをつけないと、とてもじゃないがエアコンの効いた部屋から焼けるような日差しの只中に出て行く気を削がれてしまう・・
なんとか10時前に身支度をして、ドカに乗って関越道を北上し始めた。上信越道、松井田妙義ICからr33へ。交通量の極めて少ない田舎道を快適なペースで進む。倉渕から北軽井沢に抜ける二度上峠はさすがに爽快なドライブルートだけあって多少車も多めだった。
二度上峠からの浅間山。最高に気持ちいいパノラマ。
ワインディングを下って閑静な北軽井沢へ。軽井沢はいつでも涼しいイメージがあったのだけれど、今日は30℃を越えていた。
R146を北上し長野原に出る。八ッ場ダム建設地であるこの地域周辺は、政権交代のゴタゴタもあってなかなか進展がないように思ったが、それでも数年前訪れた時からはだいぶ様変わりしていた。開通していたR145のバイパスから、吾妻渓谷沿いを走る旧道に下りてみる。狭いカーブを車が連なっていたかつてと違って、今は行き交う車はめっきり減っていた。
今日の目的地の川原湯温泉に到着。数軒の旅館がギリギリまで代替地への移転を待って現在もがんばって営業を続けているものの、温泉街の賑わいはすでにない。谷側の建物は取り壊しが進んで更地が多くなっていた。
川原湯の中でもマイナーな立地にあってお気に入りだった笹湯を訪れると、去年営業を終了したとの貼り紙があった。残念だ。
王湯で湯を借りることにした。入湯料300円とえらく値下げしたのだなと思ったら、シャンプーなどの洗い場の備品が廃されて、他の湯と同様湯船に浸かるのみの方式になったようだ。硫黄の香りと肌に優しい湯を十分に味わって川原湯を後にした。
朝から何も口に入れていないので、いい加減に腹ペコだ。温泉街から少し先に、来た時には必ず寄っている麦とろの店がある(2004年の来訪、 2008年の来訪)。渓谷を眺めながら食事が出来る座敷や切り出しの木のイスやテーブル、民芸品が雑多に置かれた店内は上州の古びたドライブインの趣きでいっぱいだ。それが街道から跡形も無く消えていて軽くショックを受けた。
二度とあの店で食べられないのか、と落胆した俺だったが、戻るバイパスの途中でふと目に入った看板。麦とろ、蕎麦・・むむ〜!?この2つのキーワードの合致、こりゃもう入って確かめるしかないでしょ。
もちろん店舗は真新しい新築だが、置いてあるメニューが以前と同じ。間違いなくあの店だ。麦とろ蕎麦定食を注文。ああ、変わってない・・!しかも値段まで。小奇麗な造りになって以前の鄙びた山里の情緒は無くなってしまったが、店自体辞めてしまったわけではなかったのだ。良かった。
R406に折れて須賀尾峠越え。大型車通行不可のため空いていて気持ちよく走れる道だ。そのまま倉渕まで進み、行きと同じくr33で妙義に戻った。
濃い山林の中を抜けるr33で唯一展望が開ける地蔵峠からの眺め。
涼しい場所でしばらく休みたかったのでとりあえず妙義山の中の岳駐車場に向かったが、思えばここはどこにも日陰がないのだ。広大なアスファルトの照り返しでまるで蒸し焼き状態で、コーヒー一杯でそそくさと下仁田に下りることにした。しかし当然ながら麓は麓で山間より気温が高く、これといって涼を取れる場所もない。仕方ない、また山の中に入れば涼しいだろう・・とそのままノンストップでR299方面に向かった。
この時季のトンネルの冷気はつかの間の清涼剤になってくれるのだけれど、南牧村と上野村をつなぐ湯の沢トンネルの中もまた天然クーラーと化していて、涼みたくて出来るだけゆっくりと通過するのだった。
不二洞のスカイブリッジに寄り道して、冷たいアイスで涼をとる。
神流町から志賀坂峠方面に折れると、傾いた日が山の端に入ってだいぶ暑さが和らいでいた。
日陰になっているミューズパークの展望台でしばらく休むことにした。バイクを降りるとムワッとまとわるような暑さが襲ってくる。特に下はパンチングメッシュとはいえど布よりは熱気がこもる。走り出すと走行風でサーッと気化熱を奪われて涼しくなるのけれど。
しっかしそろそろ午後7時にもなろうというのにこの暑さだよ。高速や国道の渋滞の中トロトロ運転では心身の消耗が激しいので、定峰峠からGLルートで帰路に着いた。案の定人気は極めて少なく、バイクに数台遭遇しただけだ。
落日の刈場坂峠からの眺め。
峠道の木肌に点々と映る、燃えるような西日のオレンジが良いコントラストだ。
秩父の山々に日が沈む。ダイナミックな風景。
不動茶屋跡を過ぎる頃、ようやくとっぷりと日が暮れてきた。林道猿岩線に折れて毛呂山の夜景を楽しみつつ里に下りていく。この日の暑いツーリングが終わった。さすがにクタクタだ。首肩と手の平が痛いぜ。