03/05/09(Fri) [長年日記]
▼ 悪夢の京都旅行2 風雲編
-第2日-
空が白んだころ、目が覚めてしまう。
外は雨。
朝食付きで頼んでおいたはずなのに、何時になっても食事の気配がない。
仕方がないので、今日は一日をのんびり過ごすつもりで、床の中で惰眠をむさぼっていると、部屋の電話が鳴った。
10時でチェックアウトだから部屋を出てほしいという。
ゲッ、マジ?
この雨の中放り出されるのはかなわんなぁ〜・・と思いつつ急いで荷物をたたみ、本来予約しておいた宿に行ってみる。
今日はどうやら一部屋空いたようで、とりあえず荷物を置かせてもらうことが出来た。
はぁ・・いきなりケチが着いちゃったなぁ。
部屋でくつろぐ気分でもなくなってしまったので、清水寺の方でも散策することにする。
大粒の雨が降り注いでいる。
とりあえず持参した折りたたみの小さな傘では心もとないので、京都駅のショップでジャンプ傘を買った。
300円と激安だったが、よくよく見れば造りも安上がりで、布と布の縫い目にシーリングがされていないので、そこから雨が染み込んでくるというシロモノ。
安物買いの銭失いとはこのこと。
京都駅のコンコース。
昔来た時にはこんな立派な駅ビルはなく、ただのローカルな高架のホームだった。
建設の際には美観を損ねるなど賛否両論あったが、実際見てみると新名所としていいシンボルかもしれない。
ロータリーから清水寺方面へのバスに乗る。
バス路線地図を部屋に忘れてきてしまったのでどこで降りればよいのかイマイチよくわからない。
清水観光の客なら大勢いそうなものなのだが、どうもそれらしい人達を見かけない。
カンでそれらしい所で降り、それらしい道を進んでみる。
どうやら近くの別な寺の参道のようだ。
朝食が出なかったのでお腹が減っている。
参道のうどん屋で食事をとることにした。
出されたお茶をすするとタバコの味がした。
ウェッ。
・・これはいったい何茶だ?
嫌な予感を感じながら注文したきつねうどんをすすると、麺はフニャフニャ、ツユは10倍に薄めためんつゆに、隠し味にタバコの灰を落としたかのような不味さ。
ハァ・・
観光地に美味いものなし、というのが自分の持論だ。
覚悟はしていたものの、さっそくハズレクジを引いてしまった。
店を出て清水寺方面に足を進める。
なんとなく見覚えのある風景。
三年坂に差し掛かると、雷は鳴り響き、とんでもないどしゃ降りになった。
雨の中数少ない観光客はみな、店の軒先に避難する。
とんでもないことになった、という顔が並んでいる。
しばらくして雨足が落ち着いたところでみな移動を開始。
イ○ダコーヒで一服。
店に入ってから、前にもこの系列のコーヒーを飲んだことがあるのを思い出した。
正直なところ、お世辞にも美味いとは思えなかった。
有名な老舗のチェーン店なのだが、オレの舌がヘンなのか。
やって来たコーヒーは、ミルクが入っているにもかかわらずほろ苦かった。
清水寺に到着。
さすがに観光客の姿も多くなり、人の気配になんとなくほっとした。
あまりに有名な清水の舞台。
びくつきながらも手すりから身を乗り出して下を覗きこんでみるが、軒がさえぎって直下を見ることは出来なかった。
とはいえ真横から舞台を見るかぎりでも、飛び降りてみようなどという考えは何があってもとても起こらないのは間違いない。
しかしみな舞台にばかり目が行ってしまい、肝心の御本尊はほとんど注目されないというのも本末転倒というかなんというか・・かくいうオレもその一人だが。
緑濃い広い境内を一周する。
心地よい空間だ。
そういえば看板に、夜の清水寺ライトアップとあった。
また夜来てみよう。
来た道を八坂神社方面に取って返す。
清水周辺の小径はたしかに綺麗ではあるし、立ち並ぶ店々の造りも年季が入っているのだが、やはり観光名所然とした雰囲気を感じてしまう。
巨大な観音像が見えてきた。
思えば今日は花祭りの日、自分の誕生日でもある。
観音を横目に見ながら道を登っていくと、坂本竜馬をはじめとする維新の志士たちの墓があった。
墓は高台になっており、京都の市街を見渡すことが出来る。
墓地だけにほとんど人気はなかったが、こういう鎮魂の場所でもバカ騒ぎする輩はいるもの。
坂を下りて丸山公園に向かう。
小降りになっていた雨もいつのまにか上がっていた。
桜が満開の丸山公園に着くと、観光客でいっぱいだった。
売店で缶ビールを買い、飲りながら園内を一周する。
この旅で初めて心を緩めることが出来たひと時だった。
日も暮れ始めた頃、宿に戻る。
コンビニで酒とつまみを買った。
昨日と違って、宿は宿泊客の気配がいっぱいだった。
恐ろしいことにこの宿には防音性というものががまるでなく、TVの音や話し声、ちょっとした咳払いですら周りに筒抜けになってしまう。
加えて、ごていねいに共同トイレのドアは自動で閉まるようになっているのだが、閉まる際にこれがまたドバシャン!!とものすごい音を立てるのだ。
この辺の実情を知ってか知らずか、朝方まで騒いでいたグループもあった。
オレは周りの音が気になるタイプなので、これから毎夜かなりストレスがたまりそうで鬱になった・・
-第2日/了-